店主の手紙
2019年10月31日から、この季節になると、首里城への思いを綴ってきました。
今年で8回目。こうしてまた、この場所からお手紙を書いています。
2026年10月26日、月曜日。今年は夕方に、首里城へ向かいました。
いつものように、首里石鹸本店、当蔵店の前を通って。

いつもの道から、首里城を見上げます。

そこに、正殿が見える。去年まで幕に覆われていた姿が、今年ははっきりと見える。それだけのことが、こんなにも嬉しい。しばらく、立ち止まってしまいました。
守礼門をくぐり、城内へ。

海外から訪れた方々や、修学旅行の生徒さんたちが、たくさん歩いていました。

なんだか、嬉しい。そう、これが、いつもの風景なんだ。首里城を訪れる人がいて、その時間を楽しんでいる。その光景を、今日はいつも以上に嬉しく感じました。
「この時期に、こんなふうに思いを寄せるのも、今年がひとつの区切りになるのかな」。そんなことを考えながら、瑞泉門を通り、正殿に近づきます。夕日に照らされた朱色が、とてもきれいでした。

真新しい赤瓦が、夕空に映えています。見慣れていたはずの姿なのに、今日は、初めて出会うような気持ちで眺めていました。

正殿前の広場は、まだ全体を見渡すことができません。その景色に会える日が、待ち遠しい。楽しみだなぁ。そう、素直に思えることが、ありがたいです。
いつものように正殿の周りを歩き、高いところから、瑞泉さんのほうを眺めます。

首里の街並みを一望できるこの眺めを、僕は勝手に「殿の眺望」と呼んでいます。(笑)

頬に触れる、いつもの優しい風。広々と続く、首里の街。その向こうに暮らす人たちのことを思いながら、少しの間、ここにいました。穏やかな時間が流れていました。
大好きな小道を抜けて、首里城を後にします。

7年間。長かったような、あっという間だったような。毎年ここに来るたびに、少しずつ変わっていく姿を見てきました。
道端には、赤花が咲いていました。この花も、いつものように咲きながら、僕たちをずっと見守ってくれていたのかもしれません。

首里城のこの姿に、どれほど多くの方の手と、願いが重なっているのだろう。今日、目の前に見えた景色を思い返すと、ただ、ありがとうございます、と伝えたくなります。
またこの姿に会える日を、ずっと楽しみにしていました。こんな日が、来るんだなぁ。
そんな思いに浸っていると、二匹の猫が寄ってきました。
「また来てね」とでも言うように。

うん、また来るね。
この街でお店を営む一人として、これからも、この景色を大切にしていきたいと思います。
いつも首里石鹸を見守ってくださる皆さまへ。
今年も、首里から、このお手紙をお届けします。
店主 緒方 教介