真夏の昼下がり、風情あふれる石畳道をカメラを片手にゆっくりと散歩。赤瓦屋根の古民家集落が残る路地はタイムスリップしたかのようで、胸を踊らせた。
無我夢中でシャッターを切っていると、さっきまで降りしきるようになくセミの鳴き声が、はたりと止まったことに気づく。その静けさをスーッと縫うように冷たい風が肌に触れ、一気に身体じゅうに染みわたる。誰に言うでもなく「あ、雨の匂い。」と思わず空を見上げたその刹那、ザーッと大粒の雨が降り出した。
私は急いで大きなガジュマルの木の下に駆け込み、雨露をしのぎながら雨に濡れて輝く石畳や、葉や枝の間からすり抜けた雫がぽつん…ぽつん…と、地面に落ちる音色に癒やされながら、つかの間のスコールを楽しんだ。雨が上がり、歩みを進めると優しく甘い香りがふっと鼻をかすめる。香りがする方へ体を向けると、石垣からプルメリアの花がひょこっと顔を覗かせていた。雨の雫を乗せた花びらが美しく、その姿を記憶とともに、カメラに収めた。
あれから3年。仕事が一息つき、気分転換にと溜まりに溜まった写真のデータフォルダを整理することにした。「去年と一昨年は全く外に出れなかったから、あまり無いな~。」と撮りためた写真を見ていると、あの日のプルメリアの写真に目が留まった。
「あー懐かしい!ちょうど今日みたいな暑い日だったな~。」と、記憶がよみがえってくる。
懐かしさとプルメリアの花の自然な美しさに、じっと写真を見つめていると、ポツ…ポツ…と音と共に、雨がふりはじめた。「あ、あの日と同じだ…。」窓にあたる雨粒の音に耳をすましていると、まるであの日のように、木々と石畳が奏でる音色と、甘く優しいプルメリアの花の香りが漂ってくるような気がする。
ふっと今まで張りつめていた心がほぐれていき、「次の休みには久しぶりにカメラをもって出かけよう!」と思いながら、自然と鼻歌がこぼれた。
スキンオードパルファム Hanagasa-花笠- に込めた想い
Hanagasa-花笠-
琉装といえば『花笠』。第一級の国賓をもてなす宮廷芸能であった琉球舞踊の小道具。蓮の花と沖縄の海と空をモチーフにした花笠は踊り子の感情表現に欠かせない物。すらりと並んだ踊り子の姿は華やかであると同時に圧巻だ。「花笠」という言葉自体が持つ、華やかさやお祝いのイメージからか、沖縄では食堂やホテル、飲み物の名前にまで「花笠」と使われている事がユニークだ。沖縄特有の装飾を施した花笠に込められた「祝、歓待、華やかさ」を言葉とともに受け継ぎたくて名に配しました。