Vol.187 ふんわり、なびく。娘の成長 | ブログ SuiSavon -首里石鹸-

どういう風の吹き回しか、娘が3年間伸ばし続けた長い髪を、とつぜん「切る！」と言い出した。頑なに「髪を伸ばす」といって聞かなかった娘。どうして切ろうと思ったの？と何度尋ねても「意味なんかないよ。なんとなく」とばかり返ってくる。きっと、ショートカットにばっさり切った従妹の影響だろう。

気持ちが変わらないうちにと、近くの美容室に電話するも、予約でいっぱいで断られてしまった。「常連さんしか来ないから、予約しなくても、すぐに切ってくれるはずよー」と母に教えてもらい、実家から車で5分ほどのところにある美容室へ車を走らせた。
その美容室は夫婦で経営していて、母とはかれこれ20年以上前からの付き合いらしい。店内は穏やかで懐かしさを感じさせる雰囲気。すると、「いらっしゃい。」と母と同い年くらいの男性が優しい笑顔で店の奥から出迎えてくれた。

お客さんは娘しかいなかったので、すぐに席へと案内された。緊張して肩が上がっている娘を見て、「よくここまで綺麗に伸ばしたねー。すごいすごい」と頭をぽんぽんと撫でた。その言葉で緊張がほぐれたのか、娘から笑みがこぼれた。

「どのくらい切る？」
「これくらいまで、お願いします。」
「前髪は？」
「ん～、どうしようかな～‥」
しっかりと受け答えしている娘の姿に成長を感じ、うれしい反面、ちょっぴり寂しくなった。

「はい、終わったよ。思い切ったね。」
腰のあたりまで伸ばしていた髪を20センチ以上切り、ふわっとしたボブヘアーに。「仕上げに、これ付けようね。」と、棚から持ってきたヘアオイルを1滴手に取り、娘の髪全体になじませた。

鏡越しに映るしっとりと纏まった自分の髪を触り、満足げな表情を見せる娘を見て、私までうれしくなる。
ヘアオイルのいい香りがふんわりと漂う車内。何度も自分の髪に手を通しては、窓に映る自分の髪を確認する娘の姿を、バックミラー越しに何度も見てしまう。
「新しいヘアスタイル、おばあちゃんにも見せる？」と声をかけると、少し照れくさそうに「うん。」と返ってくる声に、「きっとほめてくれるはずよ♪」と返しながら、優しくアクセルペダルを踏みこんだ。