ゴールデンウイークの連休がいったいそれぞれ何の日なのか、これまでまったく気にしなかった。だけど今年ははじめて、しかも連休に入るずっと前から気になっていた日がある。
5月5日「こどもの日」だ。
ゴールデンウイーク最終日でありながら、こどもができるまで一度も気にしたことがなかった日。なのにこどもができたとたん、何ヶ月も前から遠方に住む両親より「鯉のぼりはするのか」「兜は買うのか」と連絡が相次ぎ、さすがに気になったのだ。
どうやらこどもの日は、端午の節句でもあり、端午の節句は男の子にとって大きな意味をもつらしい。ネット記事によると、男の子の成長や健康を願う日なのだそうだ。
息子の健康と成長なんて毎日願いすぎているくらいだ。
そう思ったので、とくに何もしないことにすぐ決めた。決めたけれど、「こいのぼりだけ見ておくか」と思いなおし、首里まで車を走らせた。
中途半端な風力のせいか、こいのぼりはそれぞれが四方八方に空を泳ぎ、その姿は正直あまり美しいとは思えなかった。
せっかく0歳児がいるのだ。人生はじめてのこいのぼり、もっといい感じに舞う姿を見せてあげたい。
そんな親心がふつふつと芽生えたので、ハシゴこいのぼりを決意。もう1スポット見に行こうと、乗り気ではない夫と息子(眠そうだった…)をつれて、銘苅方面に向かった。
2軒めではかわいらしい模様のこいのぼりたちが、ぴしっと向きを揃えて風に吹かれていた。その姿をみて私は「かわいい」「これこれ」と満足した。息子を見ると、もう眠たくてたまらない、という顔をしていたのですぐに家に帰った。
家に帰り、息子の寝顔を見ながらふと思った。
2軒めのこいのぼりの方がかわいくてよかったけれど、よくよく考えたら1軒めのこいのぼりの方が「こどもの日」にぴったりかもしれない。
うねうねと妙な動き方をしながら、風にうまくのれない、のらないこいのぼりたち。その姿がすこしだけ、保育園ですごす息子の姿と重なったのだ。わけもわからぬままそこにいて、ほかのこどもたちも同様にそこにいる。「なぜ自分たちはここにいるんだろう」と言いたげな顔で佇む0歳児たちは、なんだか不揃いでおもしろい。
これからいろんな風に吹かれ、影響を受け、それは運だったり縁だったりするけれど、きっとそれぞれがいろんな方向に舞うんだろうな。
そんなことを思うと、あの首里のこいのぼりこそが、こどもの日を象徴するものだった気がしている。
ライター
三好優実