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首里散歩 Vol.457 自分から前へ

やっと自分の時間が作れる!
仕事も増やして、止まっていた趣味にも取り掛かって・・・と期待を膨らませていたはずの春が、台風のように通り過ぎていった。

息つく暇も感じられない時は、一旦立ち止まり、いつもよりじっくりと猫たちの眼差や振る舞いから想いを感じとり、こちらも目を細めてそれに応えている。
そんな時間の積み重なりは、自分や家族の心の土台になっているように感じる。

新しい高校生活をスタートさせた息子のエンジンは加速していくばかりで、これまで小中学校で色々工夫して整えてきたものが、数々の挑戦として解き放たれている、まさにそんな感じである。

先の見通しもお構いなしに動き始めてしまうので、つい、止めてしまいそうになるが。

「こんな時こそ、工夫を学ぶチャンスになるかもしれないね」と、目を細めて心の会話をしながら、思い止まっている。

先日、親子で『なぎなた』の県高校総体の大会の応援に行ってきた。これまで帰宅部だった息子は、学校対抗の大会も初めての経験だった。

競技人口も決して多くはないというが、実は今、沖縄のなぎなたは全国優勝を果たすほどの勢いがあるという。

さぞ厳しい世界なのだろうと思いながら足を踏み入れた大会だったが、会場は、心地よい静寂が流れ、凛とした佇まいの先生方や学生さん達が、自ら気づいて動くような独特な雰囲気だった。

「〜さんからだよ〜(自分から攻めてね)」
「一本で終わらないよ〜、続けて〜」

選手たちを導くようにかけられる応援の掛け声が、リズム良く心にも鳴り響いていく。相手の呼吸を読みながらバリエーションのある攻撃のチャンスを狙っていく緊迫の中、ふと、背中を押されるような力を持っていた。

会場から出てくると、藍染めのような色をした美しいリュウキュウアサギマダラが、語りかけるように目の前に現れた。

息子と目配せをすると、光を浴びて七色にキラキラと輝いたり、樹皮に止まってあさぎ色に戻ったりを繰り返す様子は見事で、先ほど魅了された、なぎなたの無駄のない美しい動きと技の余韻を感じる凛とした姿勢が思い出された。

「自分から前へ」の意欲が、リズムよく心に繰り返されていった。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子