沖縄での朝6:45。
宿泊したホテルの図書館に、
[おめざめのひととき]という想像するだけで朝が待ち遠しくなるような場所があることを知り、目覚めたら1番にここへ来よう!そう思って眠りについた。
ロビーを出た向かい側にあるのは屋外の〝ジャングル図書館〟
その入り口には、哀愁漂うカエルの置物がまだ薄暗い朝にあかりを灯す。

ジャングル図書館の本棚は、大きな木にまるで鳥の巣箱のようにくくりつけられていたり、自然の中に溶け込むショーケースのような本達。


テリハボクの実がゴロゴロところ転がる道を、お宝探しのようにあちこち歩き、探しまわるのもまた楽しかった。

沖縄らしさが詰まった本をいくつか選んだら、背もたれがまあるくなった椅子に腰かけ、森林浴しながらページをめくった。
南国の沖縄とはいえ早朝はまだ肌寒い季節、
お目当ての[おめざめのひととき]のコーナーにはコーヒーポットとクッキーが。
鳥のさえずりをBGMに次第に明るくなっていく空を見上げると…
気分が高揚しているせいなのか、ハートのカタチにも見えてくる。

自分じゃない誰かが用意してくれた朝のコーヒーとクッキー、それを大自然に佇む空間でいただくのは、最高に幸せな時間となった。
そして、図書館で見つけたお気に入りの本は部屋に持ち込みOK、
強い陽射しの日中は、読書に没頭した。

…本にはいろいろな思いがある。
20代だった頃のわたしは、職場でお会いしたお客様との会話で
私の息子は本が好きだという話しになり、こう言われた。
「息子さんが小学生になっても、
字の無い絵本を見てたっていいし、まだ読めない難しい漢字の本を並べておいてもいいんだよ、年齢にかかわらずいろんな種類の本に触れさせてあげるといいよ」
当時はまだ若く人見知りだった私が、無理をしながら頑張って話した、たわいもない世間話しだった。
その会話は、なんだかずっとわたしの心に残っていて、それ以降は 本の表紙に書いてある〝対象年齢〟などに囚われることなく、あっという間に我が家の本棚が賑やかになっていく。
…しばらく経ち、息子が小学生になると、引っ越しした場所に広々としたカフェも併設している大きな本屋さんがオープンした。
あるときレジで
【5.000円以上お買い上げでカフェのドリンクチケットプレゼント!】のお知らせを見つけ、
その翌月からは息子に毎月5.000円を越えるように本を買わせ、カフェでお茶しながらゆっくり本を読む…というのが毎月のお給料日だけの恒例のイベントとなった。
節約をがんばっていた当時のわたしにとってこの出費は勇気がいることだったし、なんなら5000円分買わなくても数百円だけ払ってそのカフェに入ればよかったんじゃないか?
いえいえ、
それは、毎月好きな本を買ってもらえる息子と、
せっかくチケットをもらったからカフェでゆっくりしてる母としてのわたし…という、言い訳ができる休息のハッピーな時間だったのです。

息子が選ぶ本の種類は、分厚い小説、時には漫画、石のコレクションが付録の図鑑など、ジャンルもさまざま、選んだ本はなんでもOK。
私も一緒になって読んでみたその分厚い小説は、当時大流行した〝◯◯ーポッター〟
カタカナの名前の登場人物が多すぎて1冊目の序盤でギブアップしただなんて、夢中になって全巻読み終えた小学生の子供に向かって絶対言えない案件だ。
そのとき気がついたのは、私は小説や漫画が好きなんじゃなく、本に没頭できる感覚とその空間が好きだということ。

読書の秋、
デジタル化が進む世の中だから、移動のときは便利なデジタルでもいい。
けれどたまには、紙のページをめくる感覚とその空間とその時間を、沖縄で過ごしたあの、森の図書館のように本とコーヒーとスイーツを並べて。
これからも共に愉しんでいけたらいいな。

ライター
まちこ