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首里散歩 Vol.444 春の散歩

駐車場に向かう並木を無意識に通り過ぎた時、目が覚めるような真紅の彩りの残像が残った。

「お母さん、さっきのところまで歩いてから、砂浜に向かってもいいですか?」

近づいてみると、やはり!彩りの正体は、デイゴの花だった。

沖縄県の県花で、ウチナーグチでは『ディーグ』という。

花の姿だけで沖縄の風土が感じられて大好きなのに、毎年、慌ただしいこの時期に咲き、じっくり楽しむ機会がなかなか得られないので、絶好のチャンスだった!

まだ真紅の花が咲き始めたところで、これから色づく無数の蕾を見ていると、期待で心が踊る、素敵な時間になった。

息子の高校入学に合わせて、3年ぶりに沖縄で過ごしている白鳥のお母さんは、私と同じようなテンションで、沖縄の自然を楽しんでくれている。

私が、長らくデイゴに見入っていると、
「ねぇ、あそこに、大きな実がなってるんだけど、何の実かしら」
とお母さん。

よく形を見てみると、楕円ではなく、なんだかボサボサしている?

「お母さん、あれはオオコウモリです!」

愛くるしい顔がまさにこっちを向いていた!

それからオオコウモリと見つめ合いながら、しばらくお母さんと談笑した。

お母さんの暮す長野の草食のコウモリはとても小さく、蝶と間違えてしまうらしい。

「あら〜、メジロちゃんね、可愛いわね」

ヤシ科の『ビロウ』(沖縄では『クバ』という)の花に、メジロが止まっていた。
その様子は、美しい色合いと形の集う作品のようだった。

すると、沖縄に移住してすぐに遊びに来た時の思い出を話してくれた。

近所の公園で、メジロのひなが地面にいるのに気づいて、まだ3歳だった息子と見守っていると、なんとか飛び立って近くの木に止まったという。

まだあどけない時代の息子と、巣立ちから間もないメジロのひなとの出会い。

私の記憶にもうっすら残っているその情景が、ノスタルジックに思い出された。

それからも、お母さんが手をかざすと、イソヒヨドリが近づいて来たり、お母さんと散歩に出かけると、普段よりも自然がぐっと近づいてくるような、不思議な感覚に包まれる。

3年ごととは言わず、秋の散歩も、冬の散歩も、一緒に楽しみたいなと思いながら、今日も一緒に歩いている。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子